介護保険制度によって大きく変化したこと


現在の介護の実態をみていくと、家族だけで支えられる状況ではありません。核家族化は進み、祖父母、子供、孫が一緒に暮らす生活はほぼみられなくなったといってもよいでしょう。若い世代は、男女問わずに都会で働く人も増えて、家族のあり方もここ数十年で大きく変化してきたのです。

現在、高齢者だけで生活をしている家庭は、全高齢者数の約半数となり、元気な家族が介護の必要な人を支えるといった構図は崩れてしまったのです。2000年にスタートした介護保険制度は、高齢者介護を社会全体で支えていく仕組みを作ることで、高齢期の不安を軽減しようとする狙いがあります。

人々は自ら要介護状態となることを予防するために加齢を伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努め、要介護状態となったケースにおいても進んでその能力の維持向上に努めるものとします。

介護保険法が目指すものは、国が一方的に与える介護サービスから、介護保険を利用する国民も共に協力して作っていく介護の社会化になります。介護保険がスタートしたことで、変わったことはいくつかあるのですが、まず1つ目が福祉サービスが措置制度から契約制度に変わったということです。介護保険制度の成立以前の介護サービスは、行政が必要性を判断する措置制度に基づき実施されていました。

そのため介護サービスを選ぶのはあくまで行政であり、利用者である高齢者は自分で選ぶ自由がなく、決められた介護サービスしか受けられなかったのです。また利用者の所得調査も実施され、心理的な抵抗を感じる人も少なくありませんでした。しかし、介護保険制度では、利用者の自己決定を第一にし、措置という方法ではなく、利用者が本当に受けたい介護サービスの種類や施設を選びサービス事業者と直接契約を結べるようになったのです。

サービスが自分にとって良いものでない場合は、契約を解除することも可能です。これによって、利用者に選ばれるためにサービス事業者側もよいよいサービスを提供するように努めるという相乗効果にも期待が持てます。結果的に、介護サービスの質の向上にも繋がっているのです。また費用については、以前は所得に応じて定められていましたが、介護保険サービスの費用は、1割負担に均一化されています。